マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

国論が二分されている状況に辟易としている

 この国のいわゆるPCR(polymerase chain reaction)検査の問題では、

 ――不安感情の問題

 ――体制不備の問題

 ――検証不能の問題

 ――広報不足の問題

 の少なくとも4つが複雑に絡み合っていて――

 その解決策は、

 ――PCR検査を増やせ。

 ではなく、

 ――収容施設を増やせ

 ――(PCR検査を)増やす前に、増やす準備をせよ

 ――感染調査を行え

 ――隠さず説明せよ

 であることを――

 きのうまでの『道草日記』で述べました。

 

 僕が挙げた4つの解決策、

  収容施設を増やす

  PCR検査を増やす前に、増やす準備をする

  感染調査を行う

  隠さず説明する

 は、現実的に実行しうるかどうかは別にして、

 (「PCR検査を増やす」という解決策よりは意義を見出しやすい)

 と、僕は考えています。

 

 とくに「収容施設を増やす」については――

 PCR検査を増やすよりも、通常の診察とPCR検査以外の検査とから、新型コロナ・ウイルス感染症を発している可能性が否定できない人は、PCR検査の実施の有無に関わらず、専用の収容施設に残らず隔離するのがよいでしょう。

 

 隔離されるのを拒む人たちが一定数は出てくると思いますが――

 そういう人たちの多くは、PCR検査で「陽性」と判定されても拒むでしょうから、結局は同じことです。

 

 もちろん――

 そのなかには、

 ――通常の診察とPCR検査以外の検査とで隔離されるのは納得がいかないが、PCR検査で「陽性」と判定されて隔離されれば納得がいく。

 という人たちも多少は含まれるでしょう。

 

 が――

 PCR検査の感度――感染者を「感染者である」と判定する確率――が30~70%であることを考えれば――

 それも誤差の範囲内といえそうな気がします。

 

 また、「PCR検査を増やす前に、増やす準備をする」については――

 僕は、

 (今すぐに始めるのがよいのかもしれない)

 と考え始めています。

 

 具体的には――

 人材の創出――PCR検査の検体採取を安全に行いうる専門の医療従事者らの育成、および、そうした医療従事者らの雇用の維持や訓練の継続――

 資源の確保――PCR検査の検体採取を安全かつ頻回に行えるだけの量の装備品および諸器具の調達、および、その備蓄や分配の仕組みの構築――

 制度の改変――ウイルス感染症の蔓延が危惧される場合に、診療体制の変換が円滑に行われるための政治的および医療経済的な仕組みの整備――

 拠点の設立――ウイルス感染症の蔓延が危惧される場合に、PCR検査の検体採取や検体解析を安全に行いうる機関の増設、および、その周知――

 です。

 

 いずれも、この国の今の医療体制の下では、年単位の準備を要することです。

 おそらく、今般の新型コロナ危機には間に合わないでしょう。

 

 よって、

 ――今ではない。事態が収束してからだ。

 と考えるほうが現実的ではあります。

 

 が――

 こうして「PCR検査を増やせ」という声が国論を二分するほどに強まっている現状では、やむをえません。

 

 むしろ――

 これを好機ととらえるのがよいでしょう。

 

 「PCR検査を増やせ」という声が強まっている最中に準備を始めることで、普段なら、合理的であるがゆえに、かえって蒙昧な抵抗に遭いそうな改革案が、わりと容易に採択されるかもしれません。

 

 何より――

 問題点が明確になっていて、しかも、国民の多くが、そうした状況に辟易としている――「PCR検査を増やせ」と叫ぶ人たちも、それに「待った」をかける人たちも、そのように国論が二分されている状況に辟易としている――

 そういう現状があります。

 

 よって――

 今なら、双方が妥協しうる合理的な改革案が、うまい具合に仕上げられそうな気がするのです。