マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

答えは「感染調査を行え」

 この国のPCR(polymerase chain reaction)検査の問題は、

 ――不安感情の問題

 や、

 ――体制不備の問題

 が複雑に絡み合っている、と――

 きのうまでの『道草日記』で述べました。

 

 少なくとも、もう1つ――

 問題が絡まっています。

 

 それは、

 ――検証不能の問題

 です。

 

 この国でPCR検査の実施数が増えていないことが、本当に深刻な問題といえるのかどうかの検証が、できない――やりたくても、できない――ということです。

 

 もちろん、

 ――PCR検査の実施数を増やしたい――あるいは、増やさないと大変なことになる。

 と思っている人たちにとっては――

 それは大きな問題です。

 

 が、

 ――PCR検査の実施数を無理に増やそうとすると、かえって危険なことになる。

 と思っている人たちにとっては――

 それは小さな問題です。

 

 どちらが正しいのか――

 

 ……

 

 ……

 

 その検証のためには――

 いわゆる新型コロナ・ウイルス感染症の蔓延の実態をある程度の精度で把握すればよいのです。

 

 例えば、

 ――感染調査

 を行えばよい――

 世論調査と同じようなやり方で、定期的に――1か月に1回とかの頻度で――行えばよい――

 

 無作為に抽出された一定数の国民を医師が診て――

 新型コロナ・ウイルス感染症にかかっているかいないかを調べるのです。

 

 ここでいう「医師が診る」とは、

 ――問診や視診を行い、場合によっては聴診や打診、触診も行って、必要なら検査も行う――比較的、簡便にできる検査は残らず行う――胸部CT検査なども行う――その上で、新型コロナ・ウイルス感染症にかかっている可能性が排除できない場合には、PCR検査も実施し、診断を確定させる。

 ということです。

 

 こうした診察の対象を無作為に抽出することで――

 感染拡大の広がりや勢いは、ある程度、正確にわかります。

 

 が――

 そのような感染調査を実施する準備が、この国では、できていないのですね。

 

 その状況は、諸外国を見回しても、同じようです。

 

 当然といえば当然です。

 

 未知の感染症にかかって大勢の人たちの命が危険にさらされている状況では――

 感染調査に注力するような余裕は、どこの国にもないはずです。

 

 ――今そんなことに医師の労力を割いてよいわけがない。

 といえます。

 

 つまり、

 ――検証不能の問題

 は、

 ――体制不備の問題

 と密接に関わっているともいえます。

 

 このことからも――

 PCR検査の問題が、

 ――たしかに複合体である。

 ということが――

 よくわかります。

 

 とはいえ――

 

 PCR検査の実施数を増やしたい――あるいは、増やさないと大変なことになる――と思っている人たちが挙げる根拠の1つは、

 ――PCR検査の実施数が少ないことで、本来なら隔離されるべき感染者が見逃され、そのために感染の蔓延がいつまでたっても収束しない。

 という仮説ですから――

 その仮説の検証は――PCR検査の問題を重大視する以上は――どうしても必要なのです。

 

 つまり――

 ここでも――

 答えは、

 ――PCR検査を増やせ。

 ではありません。

 

 ――感染調査を行え。

 です。