マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

片思いをできる喜び

 片思いをできる喜びというのが――
 あると思っています。

 人を一方的に好きになれる幸福感です。

 片思いというのは、一般には、つらく苦しいことだと思われていますが――
 実際、つらく苦しい側面ばかりが目立ちますが――
 でも――
 そんな思いをし、それでも、なお、

 ――あの人が好きだ。

 と思い続けられる状態というのは――
 人として最高に満ち足りている状態だと感じます。

 もちろん――
 単に「あの人が好きだ」と思うだけでは、ダメですよ。

 それは、自己が肥大化しているだけですから――

 そうではなくて、

 ――あの人が自分のことを受け入れてくれなくても、それでも、あの人が好きだ。

 と思えること――
 そう思えて初めて、人は幸せになれるのです。

 その幸せの本態は、一言でいえば、

 ――惑いがない。

 ということです。

 人は、生きていれば、惑うことばかり――
 そうした惑いから解放されるときに、人は至福に手をかける――

 ある種、宗教的といってもいいような次元での幸福感――
 いや――
 それは、

 ――解放感

 と呼ぶべきなのかもしれません。