人と人とが親密になるには――
人生の軌跡が交差しているかどうか、だと思います。
あるいは、交差しつつあるのか、交差し終えたばかりかどうか――
「交差」というのがポイントです。
並走や合流ではない、ということですね。
が――
人は、並走や合流を期待する――期待してしまう――
誰か別の人と親密になろうと思ったときに、人生の軌跡を交差させるのではなく――
並走させたり合流させたりしようとしてしまう――
別個の人である限り、合流はありえません。
並走ならありうるでしょうが――
それは、せいぜい親子の間で行われるものでしょう。
それも、子が成人するまでの短い期間に限られます。
並走も合流も、極めて特殊な関係です。
にもかかわらず――
人は、並走や合流を求めてしまう――
それが、人の弱さなのでしょうね。
当然でしょう。
交差するということは――
その後は、ふたたび互いに離れていく、ということですから――
それが――
つらく、寂しく、苦しいということでしょう。