昨今の政治報道では、
――反小沢
とか、
――親小沢
とかいった言葉が、かまびすしく飛び交っていますね。
「小沢」というのは、鳩山総理の下で、党幹事長を務めていた小沢一郎・衆議院議員のことです。
その小沢さんに歯向かうのか従うのかで与党内の政治家たちの立ち位置を色分けしようというのが、報道側の意図です。
与党内の政治家たちの動きを、小沢さんとの親密度に絡めて分析することで、今後の政局を占うことができる、と考えているようです。
まあ、たしかに、政局を占うことはできるのでしょう、そういう分析で――
が――
有権者にとっては、政局など、本当はどうでもいいのですよ。
誰が小沢さんと仲が良いのか悪いのかといったことは、国民の生活には直に関わりません。
政局ではなく政策が知りたいのです。
国会外での権力闘争の経緯ではなく、国会内での政治論争の内容が知りたいのです。
それを知らなければ、投票権を納得のいく形で行使できないから――
TVカメラの前で記者が政治家に行うインタビューも、酷いものが多いのですね。
何度も首を傾げたくなる――
政局を意識した質問ばかり重ねるのです。
政策ではなく――
政局というのは、簡単にいえば政治家どうしのケンカですよ。
自分たちのケンカのことを訊かれて気持ちのよくなる人など、いないでしょう。
むしろ、新たにケンカを売られたような気分にさえなるはずです。
つまり――
目の前の政治家に政局の質問ばかりする記者というのは、その政治家にケンカを売っているようなものです。
TVカメラの前で政局の質問をする記者は、すでに政治家どうしのケンカに加担してしまっています――たとえ、本人にその自覚がなくても――
有権者にとっては目障りなだけの存在です。