マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

小説のような科学書だった

 本には、大まかにいって――
 最初のページから最後のページまで順々に読んでいくのがよい場合と――
 飛ばし読みをしながら、必要なときに何度でも読み返しをしていく、というのがよい場合との2通りがあります。

 どちらの読み方がよいかは、本の種類に依ります。

 小説などは「最初のページから最後のページまで順々に」が理想ですし――
 科学書などは「必要なときに何度でも読み返していく」が理想です。

 きょう、科学書を読んでいました。
「必要なときに何度でも読み返していく」の方式で読んでいました。

 そうしていたら――
 ある瞬間、突然に、その科学書のもつストーリー性に気づきました。

 実は小説のような構成になっていたことに気づいたのです。

「最初のページから最後のページまで順々に」の方式で読んでも大丈夫なように書かれていたのです。

 残念ながら――
 その科学書には文芸の技術が足りなかったので、小説のように読んでいくには、かなりの忍耐力を必要とするのですが――
 とはいえ――
 その本の著者が、小説のようなストーリー性を重視していたらしいことを知り、心が動きました。

 いかなる本も、本来はそうであるべきだと思うのですよね。
 科学書であっても、最初から最後まで小説のように読めれば、それに越したことはありません。
 少なくとも、読者は幸せです。

 その科学書の著者は――
 プロの科学者であって、作家ではありません。

 そんなに有名な方ではありませんが――
 駆け出しの頃から、首尾一貫、志の高い科学研究を継続していた方で、知る人ぞ知るの科学者でした。

 科学研究での志の高さが、本の執筆でも表れたのでしょう。