小説をよむとき――
男性読者の多くは、ヒロインの女性を勝手に美人だと思っているように思います。
少なくとも――
僕はそうです。
作者が、わざわざ、
――美人ではない。
と断っている場合においてさえ、
――いやいや。実は、美人に違いない――作者にとっての美人でないだけで――
などと思ったりする――
なぜ、こんなことが起こるのか。
相手は小説のヒロインなのですよ。
ですから、自然と感情移入をしていきます。
いったん感情移入をしてしまったら――
もう、そのヒロインは美人に思えてしまう――
「美人」というのが誤解を招くなら、
――自分の好みの容姿の女性
と言い換えておきましょうか。
だから――
とても感情移入などはできそうにもない脇役の場合には――
美人であることが丁寧に描かれていても、そんなに美人には思えない――
むしろ、高慢な女に思えてしまったりする――
不思議なものです。