人々の生活には「ハレ」と「ケ」との減(め)り張(は)りが欠かせません。
「ハレ」とは、お祭りや儀式、年中行事などが執り行われるときをさし――
「ケ」とは、ふだん通りの暮らしが続くときをさします。
簡単にいえば――
非日常の催しが「ハレ」であり、日常の暮らしが「ケ」です。
このように、人々の生活は「ハレ」と「ケ」とで減り張りがつくわけですが――
一般に、人は、この「減り張り」を好む人と好まない人とに分かれるようなのです。
「減り張り」を好まない人というのは――
なるべく「ハレ」を「ケ」の中に取り込もうとします。
例えば、「ハレ」それ自体を仕事にする――
特別なイベントの企画・運営を生業にする、とか――
あるいは、「ケ」をつねに晴れ舞台にする――
芸能界などの華やかな業界に身を置き続ける、とか――
逆に、「減り張り」を好む人というのは――
堅実で安定的な職種を求めたり、地味な業界に活路を見出そうとするわけですね。
つまり――
両者は、生活の方針が根本から異なっているのです。
もちろん――
どちらが良いとか悪いとかいう話をしているのではありません。
「ハレ」や「ケ」への関わり方が、だいたい2通りに分かれるようだ、ということをいっているのです。
この傾向の違いを無視した人間関係は、たぶん巧くいきません。
「ハレ」と「ケ」とで減り張りを付けたがる人は、そうでない人も世の中にはいるのだということを忘れるべきではないでしょうし――
「ハレ」と「ケ」とで減り張りを付けたがらない人は、自分が周囲の人たちを疲れさせやすい性質であることを忘れるべきではないでしょう。