いわゆる人の心の暗部をみていると――
時々、その「暗部」が滑稽に感じられるのですよね。
「暗部」というのは、
――悪徳
とか、
――頽廃
とか、
――強欲
とか、
――驕慢
とか、
――猥褻
とか――
まあ、挙げればキリがないのですが――
そういうことです。
人の心の醜い部分と言い換えてもよいでしょう。
なぜ滑稽かといえば――
それら「暗部」を、
――暗い
とか、
――醜い
とかと判断をしているのも、しょせんは人の心なわけですよね。
ということは――
仮に、その「人」が世界から消滅したら、それら「暗部」も全て消滅するわけですよ。
その程度のものなわけです。
「人の心の暗部」というものは――
それを、嫌悪したり、忌避したり、耽溺したりする――
そんなふうに思ってしまう人の心の存在を「滑稽」だと思うのです。
リスが自分の尻尾を追いかけ、同じところをグルグルと回っているようなときに――
その尻尾の毛並みや毛の色を「汚い」と罵っているようなものです。