人前で話をするときに、いちばん大切なことは、
――自分はどういう人たちに向かって話をするのか。
ということです。
極端なことをいえば――
そのことさえ把握していれば、かりにどういう話をするかの内容をキッチリと詰めていなくても、何とかなります。
逆に、いくら話の内容をキッチリと詰めてあっても、どういう人たちに聞いてもらうのかの実情がハッキリとわかっていなかったら――
どうにもなりません。
もし、その実情がハッキリとわかっていないのに、話をするハメになったとしたら――
どうするか。
当日、その会に行ったときに、話をする人たちに向かって、自分で聞くしかないのですよね。
――あなたがたは、どういう人たちですか。
と――
本来は、非常に失礼な質問です。
爆弾を投げつけるみたいなものです。
が――
その投げつけ方を慎重に検討すれば、議論の起爆剤にもなる――
だから、その「爆弾の投げつけ方」を熟考する意義はあるでしょう。
少なくとも、
(失礼な質問だから……)
と考え、「あなたがたは、どういう人たちですか?」と質問するのを遠慮するのは、下策です。