カネを肥やしに喩えたのは、16~17世紀のイギリスの哲学者フランシス・ベーコンだそうですが――
その真意は、
――広く撒き散らせば有用だが、1カ所に集めれば悪臭を放つ。
というものだそうですね。
たしかに、カネを1カ所に集めると、ロクなことがありません。
皆で奪い合おうとしたり、誰かが盗み出そうとしたり、そのカネを管理する者が傲慢になったり――
そして――
たしかに、カネを社会に広く配れば、社会全体が少しだけ豊かになるものです。
各地で事業を興して雇用を創出したり、様々な非利益組織や慈善事業などに寄付をしたり――
が――
この喩えで重要なのは、
――肥やしには、しかるべき用途がある。
ということでしょう。
肥やしは田畑に撒き散らすから有用なのであって――
例えば、道ばたに撒き散らしたのでは、あきらかに公共の迷惑なのですよね。
カネも同じです。
いくら社会に広く配っても、その配り先で必要とされていなければ、公共の迷惑となりえます。
とにかく撒き散らせばいいというものではない――
むしろ、1カ所に集められて悪臭を放っているほうが、まだマシかもしれません。
カネを肥やしに喩える発想は、なかなかに奥が深いと感じます。