マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

レッド・ヘリング

 とても基本的で非常に重要なことを話しているつもりのときに、

 ――それはレッド・ヘリングだ。

 といわれたら――
 もう、どうしようもないですね。

「レッド・ヘリング」というのは、英語の「red herring」です。
 直訳すれば、

 ――赤いニシン

 となります。「herring」は魚のニシンのことです。

 ニシンを薫製にすると、赤くなって強烈な臭いを発するのだそうです。
 その臭いが、猟犬の鼻をも惑わせるくらいに強烈なのだかとか――

 つまり、「レッド・ヘリング」というのは――
 これからの議論や考察を、それまでの議論や考察の本筋から外れさせるような話題のことです。

 一見もっともらしいれども、実は、その場にそぐわないような話題――
 例えば、科学技術の話をしていて、急にギリシャ哲学の話を始めるようなものですね。

「レッド・ヘリング」といわれたら、なぜ、どうしようもないのかというと――
 ある意味では、その通りだからです(笑

 基本的で重要な話題というのは、つねにレッド・ヘリングなのですよ。
 それまでの議論や考察の本筋から外れさせるような話題なのです。

 なぜならば――
「基本的で重要な話題」というのは、それまでの議論や考察の本筋が、物事の本質を突き損ねていると判断されたときに限り、喚起されるものだからです。