言葉というものは、暗黙のうちに、肯定的に用いられたり、否定的に用いられたり、そのどちらでもない――中立的に用いられたりします。
肯定的に用いられやすい言葉があれば――
否定的に用いられやすい言葉もあります。
例えば、「創造性」という言葉は、たいていは肯定的に用いられ、「脆弱性」という言葉は、たいていは否定的に用いられます。
また、「特異性」といった言葉は、中立的に用いられやすい――
「創造性」を否定的な意味で用いたり、「脆弱性」を肯定的な意味で用いたりしたら、大変な不調和になります。
そこまではいかなくても――
例えば、「創造性」を中立的な意味で用いたり、「特異性」を否定的な意味で用いたりしたら、やはり、一定の不調和を生むでしょう。
こうした不調和が、ときに深刻な誤解を招くことがあります。
筆者は、肯定も否定もするつもりがなかったのに、字面としては、肯定をしてしまっていたり――
筆者は、否定をするつもりだったのに、字面としては、肯定も否定もしていなかったり――
こうした不調和を生みださないセンスというものが、言葉を操る力の源泉でしょう。