文章の行間を読むことの難しさは――
ただ、
――難しい。
と唸っているだけでは伝わりません。
例えば、中・高校生に行間を読むことの難しさを説こうと思ったら――
実際に行間を読ませてみて、それが、いかに読み難いかを体験させるしかないのです。
「行間を読む」とは、
――文中の言葉をみて思い浮かぶ事柄を援用して読む。
ということです。
例えば、「協調」という言葉から――
「国際」とか「紛争」とか「外交」とかを思い浮かべたり――
「交友」とか「学習」とか「学校」とかを思い浮かべたり――
「神経」とか「筋肉」とか「運動」とかを思い浮かべたり――
もちろん――
その「思い浮かぶ事柄」が十分に豊富でないと――
「援用」の意義は限定的です。
数種類の色彩で描くより数百種類の色彩で描くほうが――
絵に色彩を添える意義は深いのです。
行間を読むためには――
その前に、頭の中に多くの知識や理解を蓄えておかなければなりません。
つまり――
絵を描く前に色彩を増やす――
そして――
色彩を増やすには――
いかに手持ちの絵の具の種類が乏しいかを直観しなければなりません。
この「乏しい」の直観を与えない限り――
行間を読ませることの難しさも大切さも伝わらないでしょう。