一対多で話をするときは砕けた口調で――
一対一で話をするときは丁寧な口調で――
それが最善のようです。
もちろん、例外はありますよ。
一対多であっても、聴衆が目上の人ばかりであることがわかりきっている場合は、丁寧な口調で話をするほうが無難ですし――
一対一であっても、相手が幼い子供であれば、砕けた口調で話をしないと、かえって相手を萎縮させることがあります。
が、
――大勢の聴衆に話をするときは丁寧なのに、それら聴衆の中の一人と話をするときは砕けている。
というのは、ちょっとマズいと思うのです。
聴衆の立場にすれば――
大勢の中の一人として聴いているときと個別に向きあって聴いているときとで、話し方を露骨に変えられたら――
そんなに、いい気持ちはしません。
それが人情というものです。