震災後、
――本当の豊かさとは何か?
と問われることが増えました。
原発トラブルの文脈において、です。
――原発に頼らずに電力の使用を控えても、本当の豊かさは追求できる。
と主張したいようです。
が――
この主張は張り子の虎です。
何をもって「本当の豊かさ」とするのかが、よく伝わってこないからです。
「本当の豊かさ」といわれれば、誰もが頷きます。
――そうだ! そうだ!
となる――
そこで思考を止めてはいけません。
本当の豊かさとは何でしょうか。
僕は、自由時間の長さだと思っています。
自分が自分のことで自由に使える時間――
その長さが豊かさだと思っています。
自由時間を手にするためには、衣食住に不足があってはいけません。
これらに不足があれば、人は快適には暮らしていけませんから、その不快を改善するべく、時間が削られます。
つまり、自由時間の長さの中には、衣食住の充足が含まれているのです。
さて――
日本社会は、原発に頼らずとも、十分な長さの自由時間を確保できるでしょうか。
そこを議論しなければなりませんね。
電力の供給量が減ることで人々の自由時間が短くなるのなら、「原発に頼らずとも」はマヤカシということになります。