人が邪(よこしま)なことを考えやすいのは――
精神エネルギーが余っているときだろうと思っています。
――精神エネルギーが余っている。
とは――
精神作用の潜在能が高まっているとき――
もっと簡単にいうと、
――あれをしたい! これをしたい!
と意欲が高まっているとき――
あるいは、
――こんな風に考える。あんな風に思える。
と発想が湧きだしているとき――
つまり、意欲が漲(みなぎ)っているときですね。
もちろん――
人は、意欲が漲っているからといって、必ず邪なことを考えるわけではありませんが――
これだけはいってよいでしょう――
――精神エネルギーが枯渇していれば、邪なことを考える余地が生じない。
すなわち――
人は、品行方正を極めようと思ったら、自分の精神エネルギーを枯渇させるのが確実です。
もっとも――
そんなことをしたら、精神衛生には悪影響を与えるでしょう。
品行方正に生きようと思ったら――
精神エネルギーが充足された状態であっても、邪なことを考えないだけの十分な強度の箍(たが)が必要に違いありません。
だから難しいのですね――
品行方正に生きるのは――