非寛容とか利己心とかいうものは――
小さなうちは苦いのですが――
大きくなると甘くなるようです。
寛容を忘れようとしたり、利己を極めようとしたり――
そうした心理状態に慣れないうちは、良心の呵責に激しく苛まれるものですが――
やがて――
そうした心理状態に慣れてしまったら――
良心は、たまらなく甘美な諦めによって篭絡されていきます。
――それでいいんだ。
――当然だ。
――何も悪くない。
と――
いったん肥大してしまった非寛容や利己心は――
二度と縮小することはないでしょう。
小さな芽のうちに摘み取っていくしかないのです。