情報を伝達するときに、ストーリーを作って伝えれば、スムーズに伝わります。
伝えられるほうも、わかりやすい――
が――
ストーリーを作るときには、少なからずフィクションが混ざるのですね。
それが、ときに危険なのです。
旧日本軍で優秀とされていた参謀たちは、自身の作戦案の提示のときに、ストーリーを構築するのが巧みであったと伝えられています。
事の真偽はさておき――
優れた作戦案が、一つのストーリーで貫かれ――
そこが無形の魅力となって、大勢の人たちに受け入れられたということは――
大いにありそうなことです。
が――
そこには、ふんだんにフィクションが盛り込まれているはずで――
その作戦案での虚構性が、作戦行動での脆弱性となって、大勢の将兵が戦死した、などということは、たぶん珍しくなかったでしょう。
情報伝達に際しては、ストーリーはあったほうがいい――少なくとも、ないよりはいい――
とはいえ――
ストーリーは、あるだけではダメでして――
できるだけ虚構性の薄めたストーリーがなければなりません。
けれん味で美しく飾りつけるのではなく――
無骨な実質を素朴に積みあげていく――シンプルでダイレクトに――
そういうストーリーは、一見、面白くないのですが――
頭の中で何度も反芻をさせていくうちに、じわじわと面白く感じられます。