原子力発電(原発)が安全かどうかについては――
もはや議論の余地すらないでしょう。
原発は安全ではありません。
もちろん、想定された事故しか起こらないのであれば――
もしかしたら、安全なのかもしれませんが――
想定されなかった事故が起こったなら――
とうてい安全ではありえません。
そのときは――
数万ないし数十万の――場合によっては、数百万ないし数千万の――人々の生活や健康に、深刻な影響を及ぼしえます。
が――
こうした原発が抱える潜在的な危険性と、原発を即時廃止させることの妥当性とは、根本的に別次元の問題です。
原発は安全ではない――
けれども、これを直ちに止めてしまったら、それこそ数千万の人々が不便な暮らしを強いられる――
だから、当面は、原発の危険性を少しでも減らし続けることと引き換えに、原発がもたらす利便性に頼っていく――
そういう考えは妥当ではないであろうか――
そんな議論をしていかなければならないはずです。
それなのに「原発は安全だ」などといってしまうから――
不信感をもたれるのですね。
安全であることの証明は、原理的にムリです。
あとで振り返ったときに、
――以後、きょうまで事故がなかったから、あの時点で「安全である」との判断は間違いではなかった。
というのが精一杯のところでしょう。