歴史上の人物について、
――この人物のここが凄い。
といったコメントを耳にして、
(うむ! まさにその通りだ!)
と、うなずく度に思うことは、
――その人物のそこが凄いと気付くあなたが凄い。
ということです。
逆に、そのコメントを耳にして、
(何いってんだか……)
と、呆れる度に思うことは、
――その人物のそこが凄いと誤解するあなたはつまらない。
ということです。
さすがに――
プロの識者のコメントには、うなずかされることが多くて、
(やっぱプロは違うな~)
と思いを新たにするのですが――
プロでない識者のコメントには、何度か呆れさせられることがありまして、
(つまんないな~)
と溜め息をつくのです。
が――
このときに、絶対に見落としてはいけないことは――
プロの識者であろうとなかろうと、その歴史上の人物の本当の姿については決して知りえない、という事実です。
なぜならば――
その人物に直に会って確かめたり、その人物の振る舞いを目の当たりにすることができないのですから――
歴史上の人物についてのコメントで直接的に言及されている内容は、実は歴史上の人物についてではなく――
その識者自身の歴史観や社会観、人生観や人間観、世界観や自然観なのです。
よって――
歴史上の人物について、生半可な気持ちでコメントを発すると、あとで自分に跳ね返ってきます。