新たに何かを書くためには――
新たに何かを知らねばなりません。
新たに何かを知るためには――
新たに何かを調べねばなりません。
新たに何かを調べるためには――
新たに何かの問いを立てねばなりません。
つまり――
「書く」とは「問う」ということに通底しているのです。
「問う」とは、何を不思議に思い、何を面白いと思い、何を究めたいと思うかに気付く、ということです。
この気付きが十分でなければ、何かを真剣に調べたり、何かについて深く広く知ったり、何か読み応えのある文を書くことはできないでしょう。
――いや、「書く」だけではない。「話す」にも、同じように「問う」が大切だ。
と思われる向きがあるでしょう。
たしかに、それを一概には否定できませんが――
「書く」と「話す」とで決定的に違うことがあります。
それは、「書く」では正確さが求められるという点です。
話した内容は、話したそばから、逐一、消えていってくれますが――
書いた内容は、そうはいきません、いつまで経っても、そこに残っている――
ですから、「書く」では「話す」よりも、正確かどうかの基準について、堅固に耐えなければなりません。
そのために、広く深く知る必要がある――
そのために、真剣に調べる必要がある――
そのために、自分自身へ正直に問う必要があるのです。
――お前は何を真剣に調べたいのだ? 何について深く広く知りたいのだ?
と――