僕は車の運転が嫌いなのですが――
その理由は、
――車の運転をしていると、自分の死を気安く想像してしまうから――
です。
例えば、高速道路を走っていて、
(あの壁に激突すれば、死ぬな~)
とか、
(あの橋からダイブしたら、死ぬな~)
とか――
本当は、そんな想像、したくもないですよ――
とくに自殺願望があるわけでもないし――
第一、とても気持ちが悪いし……。
けど――
想像せずにはいられないのですね。
だって――
高速道路を走っているときは、ちょっとしたハンドル操作を実行するだけで、「激突」も「ダイブ」も自在にできそうなのですから――
喩えていうならば――
目の前に梱包材の“プチプチ”があったら、つい潰してみたくなりませんか?
目の前にヒモがブラ下がっていたら、つい引っ張ってみたくなりませんか?
目の前に赤くて丸いボタンがあったら、つい押してみたくなりませんか?
安易な比喩を持ち出せば――
つまりは、そういうことなのです。