妥協のない人間関係は存在しませんが――
妥協だけの人間関係も存在しません――
そう、僕は信じています。
妥協だけの人間関係――
すなわち、
――妥協に妥協を重ねて残った人間関係
というものが、もしも存在するのだとしたら――
それは、単なる利害関係のことでしょう。
その人間関係は――
そこでの利害関係の構図が保たれてさえいれば――
構成員のそれぞれを入れ替えても――
十分に成り立ちうるのです。
例えば――
会社のような組織において――
社長と社員との利害関係の構図が、しっかりと保たれてさえいれば――
社員から社長に昇格したり、社長が社員に降格したりすることは、もちろんのこと――
社外から社長を招聘したり、社外から社員を募集したりすることが可能である――
ということを考えれば、明らかでしょう。
が――
多くの会社は「妥協だけの人間関係」のみで成り立っているわけではありませんから――
実際には、ある会社において、社長と社員とを入れ替えたりすると、その会社が組織として破綻する――
ということは、相応の確率で起こりえます。
現実の社会において――
社長と社員とを無造作に入れ替えても破綻しない会社など――
きっと存在しえないでしょう。
そのような観点からの印象として――
「妥協だけの人間関係」というのは存在しそうにない、と――
僕は思うのです。
ひょっとすると、それは僕の願望かもしれませんが――