健康と生活とは切っても切れない関係にあります。
健康が乱れれば、生活は乱れます。
「健康が乱れる」とは、簡単にいえば「病気になる」ということですから――
元気なときの暮らしができなくなるのは、当たり前ですね。
一方――
生活が乱れれば、健康は乱れます。
いわゆる生活習慣病という概念は、こうした因果関係を指摘したもので――
がんや脳卒中、心臓発作といった重い病気は、不規則な食生活や運動の不足、睡眠の不足や過剰といった生活習慣によって引き起こされる、という考えに立脚しています。
このように健康と生活とには密接な関連がありますから――
健康管理というのは、とりもなおさず生活管理のことだといってよいのですが――
なかなか実践されるに至りません。
意外に多くの人たちが、健康には関心があって、一生懸命に管理をしたがるのですが――
生活には関心がなくて、そんなに一生懸命には管理をしたがりません。
その要因については、いくつも考えられますが――
最も重大な要因は、健康管理ではおカネが動きやすいけれども、生活管理ではおカネが動きにくい、ということでしょう。
いいかえれば――
人々の健康管理の欲求は経済活動によって裏打ちがされやすいけれども、生活管理の欲求はそうではない、ということです。
このことは、例えば健康食品が広大な市場を切り開いていることからも、よく実感できます。
食生活を規則正しくするよりは、おカネを出して健康食品を買ったほうが、気軽で安心だからです。
その場合――
健康食品を摂取することが健康管理とみなされるわけですが――
それは、幻想です。
食生活を適正に保つという生活管理こそが、健康増進をもたらしうる健康管理なのです。
ということは――
誰かが生活管理に絡めた商売を始めるといいのですね。
そうすれば、経済活動と健康増進とが結びつく――
社会学的にも医学的にも、かなりハッピーなわけです。
ただ、そんな商売の青写真が、僕には描けませんが……。