自分の過去に負い目のない人などは存在しません。
人は、人前で語れないことや人に訊かれたくないことの一つや二つを必ず胸の内に秘めているものです。
それを――
若い人は、
――自分だけだ。
と思っている――
「人前で語れないこと」や「人に訊かれたくないこと」があるのは、自分だけだと思っている――
それが若さであり、幼さでもあります。
人は、
――なんだ! 私だけじゃなかったんじゃん!
と見破ることで「幼さ」から抜け出し、
――酷いことしてるのは私だけじゃないんだ。
と開き直ることで「若さ」を見失います。
「幼さ」の蒙昧から抜け出すということは、同時に「若さ」の誠実を見失うということでもあるのです。