対話というものは――
相手の主張を理解していく営みなのではなく、相手の主張の前提を理解していく営みです。
相手の主張は、相手の発言に耳を傾けていれば、すぐにわかります。
が――
相手の主張を理解しただけでは、その主張に対し、本当の意味で同意したり、反論したりすることは、できません。
相手の主張の前提になっている通念や常識などを把握し、それらに対して賛意を示したり、懐疑を示したりすることが、必要なのです。
とはいうものの――
相手の主張の前提を理解するには、手間と時間とがかかるのですよね。
何よりも重要なのは、忍耐とか根気とかです。
それと――
人間に対する根源的な好奇心――
どんな対話も、相手は人間ですからね。
そうした好奇心があれば――
手間と時間とを惜しまずに済みます。