式典の中の式辞というのは――
短くてもいけませんし、長くてもいけませんね。
短ければ、手抜きをしたように感じられ――
長ければ、うっとおしい雰囲気を作ってしまう――
ほど良い長さというのが、式辞にはあるのです。
式典にも、
――流れ
というのがありまして――
その「流れ」を止めないように、式辞を短く畳み込んで――
あるいは――
その「流れ」が繋がるように、式辞を長く引き延ばす――
それら畳み込みや引き延ばしが巧くいけば、式辞は、その式典の中で、とくに注目を集めることはありません。
巧くいかなければ、目立ってしまう――
式典の「流れ」を不用意に乱したという理由で、列席者たちに強く意識されてしまう――
式辞を無難にこなすのは、非常に難しいと感じます。