食べ物や飲み物について何か語ってほしいといわれると――
僕は困ってしまうのですね。
例えば――
寿司などの日本の伝統料理の良いところや面白いところを語ってほしいといわれると、
(どうしよう?)
と悩んでしまう――
「旨いよ」の一言で終えてしまいたくなる――
(だって、お寿司について語るより、お寿司を味わって自分で満足をするほうが、ずっと好きなんだもん!)
というわけです(笑
料理のことをいくら言葉豊かに語っても、その味を伝えることはできません。
料理のことを詳細に聞き取っても、それを味わう機会に代替することは難しい――
ですから――
料理のことを語ろうとすると、その料理の周辺のことを――料理それ自体ではなく――伝えることになります。
それが、僕には、もどかしいのですね。
一番に大切なことを、どこかに置き忘れてきてしまったような喪失感――
たぶん、料理のことを語ったり聞いたりしている人は、そのもどかしさや喪失感を楽しんでいるのだろうと思いますが――
僕には、無理です。
ちょっと楽しめそうにありません。
僕は、案外、直情的な食いしん坊なのかもしれません。