マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

何やら奇妙な愛おしさを

 岡山の母のところへ来ております。

 妹も、甥と姪とを連れ、来ております。
 甥は9歳で、姪は5歳です――僕の記憶が正確ならば……(苦笑

 仕事の関係で、例年、年末年始に限らず、まとまった休みを容易にはとれなかったのですが――
 幸か不幸か、今年は震災の影響で職場を異動になったために、まとまった休みがとれました。

 おかげで――
 母、妹、甥、姪と5人で年越しです。

 妹が、どこからか百人一首の札をもってきました。
「覚えてる? 懐かしいやろ~」

 僕らが小学生のときに、父や母と一緒に遊んだものでした。

 黄ばんだり染みがついたりして、だいぶ古びてはおりましたが――
 まぎれもなく、僕らが30年前に使っていたものです。

 それを取り出し、甥や姪を交えて3人で思う存分に遊びましたよ。

 もちろん、まだ姪が幼いので、ちゃんとした札取りはできません。
 坊主めくりです。

 途中から妹も加わり、4人になりました。

 父、母、妹と4人で遊んでいた記憶が重なりました。
 あれも、たしか年末の夜だったような気が――

 あの夜から20年後に、すでに父は鬼籍に入り――
 それから10年のうちに、妹は嫁いで甥と姪とを産み、育てています。

 いつかこんな夜が来ることを――
 あの夜の僕は、想像すらしていませんでした。

 想像すらしていなかったことを明瞭に覚えている自分に――
 何やら奇妙な愛おしさを覚えます。