宮城県美術館にフェルメールの絵をみにいってきました。
この秋、特別展として『フェルメールからのラブレター展』が催されていたのですね。
フェルメールというのは、ヨハネス・フェルメールのことです。
17世紀オランダの画家です。
今や、日本でも、すっかりおなじみであろうと思います。
日本でのフェルメール展は、今回をいれて少なくとも3回――その3回のすべてで、僕は展示場に足を運んでいます。
過去2回は上野の東京都美術館でした。
今回は仙台の宮城県美術館です。
僕は仙台に住んでいます。
自分が住む街にフェルメールの作品が飾られるというのは、何だか嬉しいものです。
今回のフェルメール展で目玉となった作品は『手紙を読む青衣の女』でした。
先頃に修復を終えたばかりの絵で――
今回は、本国オランダに先駆けての公開でした。
3月の東日本大震災を慮ってのはからいだときいておりますが――
真相はわかりません。
が――
とりあえず、そのように勝手に納得をし――
何となく慰められておくことにします(笑
*
フェルメールの絵は、基本的には、
――ひとり
なのですよね。
絵画の枠に収まっているのが1人だけということです。
見かけ上は1人ではありませんよ。
例えば、今回の仙台展でも展示されていた『手紙を書く女と召使』は、2人の人物が枠に収まっています。
が――
この絵でも、主役は、あくまでも1人なのですよね。
夢中で手紙を書いている女主人の傍で、窓の外をみやりながら、じっと書き終わるのを待っている侍女――
主役は、手紙を書いている女主人のほうだと思う人もいるでしょう。
僕は、侍女のほうだと思っています。
が――
そこは、どちらでもいい――
とにかく、主役は1人――
そこがポイントなのです。
鑑賞者は、その「1人」に心を注ぎ、その「1人」と心を交わす――
そのような仕掛けを――
フェルメールは絵画の枠に、さりげなくしつらえていた――
そんなふうに思えてなりません。
*
仙台展は、きょうでおしまいです。
今月の23日から、東京展(渋谷の Bunkamura ザ・ミュージアム)で引き継がれます。
ところで――
なぜ今回の『フェルメールからのラブレター展』は、なぜ「ラブレター」なのか――
おそらく、テーマがコミュニケーションだからでしょう。
展示場には、フェルメール以外にも17世紀のオランダの画家たちの作品が数多く展示されています。
いずれも、人と人との交流に焦点があてられた絵画です。
主催者側は、フェルメールと現代日本人との交流を強く意識しているのでしょう。