何かの意見を表明するということは――
必ず何かを切り捨てることにつながっているものです。
例えば、
――今こそ、Aが必要である。
と意見を表明した場合は、言外に、
――Bは、もう必要ない。
ということが表明されているに等しかったり――
あるいは、
――Cには取り組むべきではない。
と意見を表明した場合は、言外に、
――Cで恩恵に与る人々を見捨てても構わない。
ということが表明されているに等しかったりします。
何かに光を当てれば、必然的に陰ができる――
それが道理です。
意見を表明し慣れている人は、この道理にも慣れています。
つねに陰を作っている自覚が頭を離れない――
ですから、光の当て方にも慎重です。
が――
意見を表明し慣れていない人は、この道理を知りません。
自分が陰を作っている自覚が抜け落ちている――
ですから、光の当て方は大胆です。
どちらが良いとか悪いとかいうことはないでしょう。
ただ、そういう違いがあるということです。