2月29日は、4年に一度しかめぐってこない日なので――
なんだか、とても貴重な日であるように感じます。
例年ですと――
きょうは2月ではなく、3月なのですよね。
が――
今年は、あくまでも2月なのです。
4年に一度、なぜ2月の末に1日だけ余計に付け加えられるのかといえば――
古代ローマ歴では、2月が12番目の月とされていたからだそうで――
その頃は、3月が1番目の月だったそうです。
暦のことを考えると、自然の偶然性と人知の必然性との関連を思います。
なぜ1日だけ余計に付け加えられなければならないのかといえば――
根本的には、地球の公転や自転の周期に理由を求めることができます。
地球の公転周期が地球の自転周期の整数倍になっていないのですね。
公転周期は自転周期の約365.25倍です。
よって、4年が経つと、端数の「.25」の部分が積み重なって「1.00」となってしまう――
この「.25」は、自然の偶然性に由来します。
「.33」や「.05」ではなく「.25」であることに、おそらくは何も必然はなかったでしょう。
一方、「.25」の端数を調整するために、4年に一度、1日だけ付け加えるという知恵は、人知の必然です。
そうしなければ、長い年月の間に、どんどん暦が狂っていってしまう――
狂った暦などは、かえって迷惑ですから、そういうものは使いたくない――
よって、端数は何としても調整しなければならないのです。
この調整は、ハッキリいえば、かなり人為的です。
ほとんど「ご都合主義」といっても、よいくらい――
暦を管理していた農耕期の為政者たちは、今の1月や2月を明示していなかったそうです。
1月や2月は農閑期なので、暦は必要ないという判断があったといわれます。
が――
僕などは思うのです。
本当の理由は、端数の調整をごまかすためではなかったのか、と――
たしかに、ときの為政者たちが、
――4年に1度は1日だけ余計に付け加える。
などと宣言したら――
民衆は訝ったことでしょう。
為政者の人為性に欺瞞性を感じたかもしれません。
人間の直観力は、いつの世でも、バカにならなかったはずです。