マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

電話は意思疎通という名の壁に穿たれた小さな穴

 人は――
 誰かと面と向かって相対しているときよりも、電話口だけでやりとりをしているときのほうが――
 より感情を不安定にさせる傾向にあるようです。

 直に会っていれば何でもなかったはずの行き違いが、電話で喋っているときは激しい口論へと発展をする――

 電話で喋るということは、意思疎通という壁に穿たれた小さな穴から、壁の向こう側を覗き込むようなことです。

 視野が不自然に狭められており、ついイライラしてしまって、しょうがない――
 もし、壁がガラス張りであったなら、まったくイライラしないで済むことなのに――

 これが電話の弱点でしょう。

 数年前から――
 この国の政権中枢でも、携帯電話によるやりとりが重要な政治決断を幇助しそうになることが、何度か起こっているそうです。

 が――
 その都度、頓挫をしているらしい――

 携帯電話も電話です。
 つまり、壁に穿たれた小さな穴であることに変わりはありません。

 が――
 携帯電話だと、その穴が自在に移動できるような錯覚を覚えるのですよね。

 だから、その壁が、まるでガラス張りであるかのように錯覚してしまう――

 本当は――
 そんなことはありませんよね。

 穴をどんなに自在に移動させようと、視野が狭められていることには変わりがないのですから――