長所と短所とは表裏一体であるものですが――
その“表裏一体”を日頃から実感できている人というのは、どれくらい、いるのでしょうかね。
僕は“表裏一体”を理屈では理解しているつもりですが――
それでも、日常生活の只中では、
――長所の対極が短所、短所の対極が長所である。
と何となく思っています。
「この案の短所は、何ですか?」
と訊き、
「○○ですよ。それは、見方を変えれば、長所でもあるんですけどね」
と答えられたら、
(いや、別に長所は訊いてないんだけどなあ……)
と秘かに訝ってしまうのですが――
そのときに「長所と短所とは表裏一体である」という話を運よく思い出せたのなら、
(ああ、なるほど――)
と自分を納得させることができます。
長所と短所とが渾然一体となっているというのは、人間の経験に基づく偉大な発見だと思いますが――
この発見の中身は、人間の直感に大きく反しているらしいという点が――
とても不思議で面白いと感じます。