深夜のファミリーレストランで夜食をとっていたら――
近くのテーブルに、とても若い女性と小太りで年齢不詳な男性とが座っておりました。
二人して何やら楽しげにお喋りをしている――
女性のほうは、本当に若いのですね。
たぶん10代の中盤――中学生か高校生か――
そのうちに――
女性のほうが、カバンから教科書やノートを取り出して勉強を始めました。
その様子を、男性のほうは、嬉しそうに眺めていました。
時計の針が11時を示しておりましたから、
(おいおい、こんな時間まで連れまわしてて大丈夫なのか~)
と思って――
男性のほうをよく見てみると――
なんと――
男性ではありませんでした。
中年の女性――
髪の毛がパサついていて、肌には化粧っ気が皆無だったのと――
地味な色のズボンやジャンパーという服装だったので――
うっかり男性だと勘違いをしてしまったのですね。
つまり、その二人――
親子連れなのです。
母親と娘――
それに気づいてからというもの――
その二人への関心の持ち方がガラりと変わりました。
(なんで、こんな時間まで、ファミレスにいるんだろう?)
娘が勉強をするのに、自宅を出てこなければならなかった理由が、思い当たらなかったのです。
(父親が酒乱で暴れてるとか?)
(家が寒くて耐えられないとか?)
いずれも考えれらない理由ではないのですが――
どうも、しっくりこない――
もしかすると、その中年女性――
実の母親ではないのかもしれません。
親戚か知人か――
わけあって、一時的に保護者の役目を果たしているのか――
……
……
とにかく――
色々なことを想像させられました。