自分の言葉で喋るとき――
その言葉には、魂がこもります。
それが、いわゆる言霊となって、聞く者の胸に響きうる――
が――
自分の言葉で喋らないとき――
例えば、メモや原稿を読み上げるとき――
仮に、そのメモや原稿が自分の手で書いたものであっても――
それに言霊は、決して宿りません。
聞く者の胸に響くということがない――
もちろん――
その言葉の中身が素晴らしければ――
聞く者の心を多少は動かすでしょう。
が――
胸に響くということはない――
「胸に響く」と「心を動かす」との違いは何か。
それは、新たな情念を呼び覚ますかどうかです。
自分の言葉で喋るなら、情念までをも伝えうる――
それが、相手の心の内で新たな情念となって湧き起こる――
自分の言葉で喋らないなら、情念までは伝えられない――
伝えられるのは、せいぜい理念の範囲にとどまるのです。