世の中には、どうしようもない現実の困難というのがありまして――
どのような知識や経験や発想をもってしても、すぐには対処しがたい問題というのが――
無数に存在します。
そのような問題に、きちんと向き合うことで――
世の中の風景は、まったく違ってみえるでしょう。
逆に――
そのような問題から目を背けていたら、
――世の中なんて、ちょろいもんさ。
という世界観――底の浅い世界観――が、しみついてしまうでしょう。
そういう世界観で眺める世の中というのは――
さぞかし味気ない世の中に違いありません。
それは、
――世間は、オレ以外、バカばっかりだ!
とか、
――誰か私を殺してくれたらいいのに……。
とかいった歪んだ独白を誘う下地ともなりえます。