マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

そういう14歳もいる

 ある高名な作家さんが、

 ――14歳くらいのときに、「これから先、自分は、なんて長い時間を生きていかなきゃならないんだろう?」と自問したことがある。

 とエッセイでお書きでした。

 その作家さんは、当時、34歳くらいでした。

 そのエッセイが手元にないので、はっきりとしたことは述べられません。
 ですから、その作家さんのお名前は伏せます。

 それで――
 そのエッセイを、僕は、やはり14歳くらいのときに読んで――
 衝撃を受けたのです。

(え~! 14歳で、そんなふうに思える人がいるんだ!?)
 と――

 当時の僕は、

 ――長生きは、すなわち得なこと、良いことである。

 と何となく思っていました。

 あれから20年ちょっとの歳月がすぎ――
 その作家さんがエッセイで書かれたときよりも幾つか余計に歳をとりました。

 そして、今――
 その作家さんと同じような14歳をみかけることがあります。

 つまり、「これから先、自分は、なんて長い時間を生きていかなきゃならないんだろう?」と思っている14歳を――あるいは、そのように思っていそうな14歳を――時々みかけるのです。

 今は、衝撃は受けません。

 そういう14歳もいるのだということを、よくわかっていますから――

 ただ一つ――
 当時と今とで変わったことは、

 ――人間、できればそんなことは思いたくないはず。

 という信念を手にしていることです。

 つまり、「なんて長い時間を生きていかなきゃいけないんだろう?」などと心から思いたい人は、本来はいないはずだ、ということです。

 そう思いたい14歳には、そう思いたい理由があるから、そう思わずにはいられないと思うのです。

 これは信念です。

 僕の信念です。

 もしかしたら、事実誤認かもしれません。