例えば――天気の良い日に、草原に寝そべって、青空を見上げていたい――
と願望をもったとして――
その願望に、すぐにピトっと浸(ひた)れる人は――
たぶん、何がしかの才能に恵まれている人だと思うのです。
――それは、どういう才能なのか。
と訊かれたら――
ちょっと困ってしまうのですが――
強いていえば、
――願望に専念できる集中力
でしょうか。
ふつうの人は、そうは専念できずに、いろいろな些事を考えます。
――草原に寝そべったら、服が汚れるかもな(草汁が染みついて青くなっちゃうかも……)
とか、
――うっかり居眠りをして風邪をひくかもな(インフルエンザとかにかかっちゃうかも……)
とか――
そういう些事をキレイさっぱり忘れるには――
やはり、集中力が不可欠です。
夢の世界に没入し、現(うつつ)の世界を脱出する――
そういう才覚です。
……
……
そういう才覚を持っている人は――
例えば――
ひと目ぼれなどは、かなりしやすいでしょうね。
そして――
ひとたび恋愛を成就させ、結婚し、家庭を築いたら、終生、おしどり夫婦でありつづけようとするでしょう。
それは、それで――
なかなかに得がたい資質だと思います。