同じ詞をよんでいても――
それが男性によって書かれたものなのか、女性によって書かれたものなのかで、ガラっと印象は変わってきます。
いかにも男性の書きそうな詞が、男性の作者名で発表されれば、
――なるほどね~。うまいね~。
で済まされてしまうのですが――
もし、女性の作者名で発表されれば、
――え? この作者、どんな女性?
と衆目を集めえます。
それゆえに――
女性を騙る男性が作詞の世界には意外に多いらしく――
有名なヒット曲が自称・女性作詞家によって手がけられている事例を、ときどき見聞きします。
こうした事態は、
――作者名というものは、詞の題名の一部である――あるいは、題名の亜種である。
と解釈すれば、わりとスッキリと理解はできるのですが――
こうした解釈を知らない人は、
――詐欺だ!
と厳しく非難することもあるでしょう。
「詐欺だ!」といわれれば――
たしかに、詐欺かもしれません――とくに、その詞の描く情景や心象に、すっかり酔ってしまった人にとっては――
こうしたことで白けた思いをしたくない人は――
その女性作詞家は本当に女性なのか、つねに気を回すしかないでしょうね。