マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

そう簡単にはみつからないからこそ

 くだけたプライベートな場で、話を盛り上げたければ――
 その場に集まっている人たちが、本当に話したがっている話をすることです。

 が――
 その「本当に話したがっている話」の内容を見極めるのが、けっこう難しい――

 集まっている人たちの数が多ければ、なおさらです。
 皆で共有できる最大公約数的な話題を考えねばなりません。

 そういう話題として意外に無難なのが――
 いわゆる「シモネタ」なのですよね。

 といっても――
 ただの「シモネタ」ではありませんよ。

 ――お上品なシモネタ

 です。

「そんなものがあるのか」と訝る向きも多いでしょうが――
 あるのですよ――そういう「シモネタ」も――

 古典の「シモネタ」です。
 例えば、『源氏物語』とかシェイクスピアとか――

 とはいえ――
 これら本物の古典は、かなり敷居が高い――
 作品の中に「シモネタ」を探すのも、けっこう一苦労です(苦笑

 なので――
 もう少し現実的に考えて――
 数十年前に持てはやされた芝居や映画などが、よいでしょうか。
 例えば、『マイ・フェア・レディ』とか黒澤明とか――

 いや――
 これらも、そう楽ではない……。

 少なくとも、一人で「シモネタ」を探すのは大変です(笑

 このように――
 皆で共有できる最大公約数的な話題というのは、そう簡単にはみつからないものなのですね。

 だからこそ――
 そのような話題の萌芽を感じ取ったら即座に、あえて話題の中心をそちらへ向けるような戯れ言を口にする――

 ――『マイ・フェア・レディ』のヒロインって、最初は娼婦じゃなかったっけ?

 みたいな――

 座談の名手は、そうした技巧にも長けています。

 そうすることで――
 その場にいる全員が「シモネタ」を探し出そうとする雰囲気に変えてしまうからです。