――仕事は溜めないに限る。
と思っています。
というのは――
溜めれば溜めるほどに、あとから片付け難くなるからです。
とはいえ――
仕事を溜めないようにと、その都度、片付けていけば、ちょっと効率が悪い――
どうしても、つねにダラダラと片付けていくことになるからです。
ところが――
この「つねにダラダラと」にも、メリットがないわけではないのですね。
もう少し具体的に述べましょう。
例えば――
ある地点からある地点まで荷物を運ぶとします。
その荷物は、毎日1個、車で運ぶ――
車には最大10個の荷物が積めるとしましょう。
この場合に、「つねにダラダラと」というのは、荷物を毎日1個ずつ運ぶことです。
つまり、その都度、車を往復させていく――
これでは、あきらかに効率が悪いといえましょう。
ふつうの人なら、
――1週間分まとめて運ぼう。
と思うはずです。
最大で10個も運べるのですから――
1週間分なら7個です。
まだ十分に余裕があります。
ところが――
ここに、人の心の弱さが影響を及ぼしえます。
1週間分をまとめて運ぶということは――
荷物が1個ずつ溜まっていくこと意味します。
運ぶべき荷物が毎日1個ずつ増えていくということです。
月曜日に7個を運んでスッキリしたと思っていたら――
火曜日に1個、水曜日に2個、木曜日には3個……。
日曜日に6個で、月曜日には7個です。
6個、7個と荷物が溜まっていくのをみていたら、
――7個も8個もおんなじだ。
と思うのが人情です。
そのうちに、
――9個や10個だって、そんなにはかわんないんじゃないか。
などと思ってしまう――
やがて、
――2週間分、まとめて運んでみようか。
などと思ってしまう――
――「最大で10個」なら、うまく押し込めば14個くらい、なんとかなるんじゃないか。
などというように――
最大で10個なのに14個も運ぶというのは、あきらかに危険な試みなのですが――
その危険察知の感性が、すっかり鈍ってしまうのですね。
この鈍りを回避するためには、どうしたらよいのか――
それは、何といっても毎日1個ずつ荷物を運ぶことが一番なのです。
多少の効率の悪さには目をつぶる――
つまり、「つねにダラダラと」のメリットは、人の心の弱さ――怠惰性――をもたげさせないということですね。