物語の伝え手が――
自分の物語を紡ぐときに――
もし――
奇を衒(てら)った物語にしたいのなら――
ひたすらに斬新さを追求することですね。
物語の受け手に、
――え? 何、それ? こんな話、今まで聞いたことも見たこともない!
と思わせる――
あるいは、
――こういう話なら、どっかで聞いたことあるよ、見たことあるよ。
と決して思わせない――
ヤマザキマリさんのマンガ『テルマエ・ロマエ』は――
奇を衒って斬新さを追求した好例といえましょう。
この物語は、主要なテーマが、
――日本文化における風呂の慣習
であったり、
――古代ローマと現代日本との対比
であったりするわけですが――
そんな物語は、
――明らかに奇を衒っている。
といえましょう。
そして、ご承知のように――
この物語は、のちに映画化されるくらいに、大ヒットしました。
なぜ大ヒットしたのか――
おそらく、
――古代ローマの浴場設計技師が、現代日本にタイム・スリップする。
という設定が――
あまりにもバカバカしくて(笑)――
かえって清々しさを感じさせるくらいに斬新だったからです。
まさに、
――奇の衒い方で正道をいった物語
といえましょう。
秀逸な着想だと思います。