――話のわかる人だ。
などといいますね。
主張の内容が明確でわかりやすいとか、相手の言い分をきちんと受容し、理解するとか――
そういった意味で使われることが多いようです。
場合によっては、会話を交わしていると心地がよいとか、欲求不満がたまらないとか――
そういう人を称して「話がわかる人」と、僕らは呼んでいるように思います。
では――
その「話がわかる人」になるためには、どうすればよいのか――
「話がわかる人」になるためには、持って生まれた才覚が必要なのか――
それとも、心がけ次第で誰にでもなれるものなのか――
僕は、ある意味では「心がけ次第で誰にでもなれる」と思っています。
が――
その心がけを実践するには、天賦の才が必要かもしれません。
では――
何を心がければよいのか――
理念と情念とを等しく重視することです。
どちらかに偏ったりはしない――
理念だけでもダメ――
情念だけでもダメ――
理念を高らかに掲げつつ、情念にも細やかな心配りをする――
情念に突き動かされても、理念で制御することを忘れない――
自分の理念と情念とを厳しく分別し、各々の中身を正確に反省し――
相手の理念は好奇心をもって吸収し、相手の情念は慈悲をもって受容する――
そういう心がけを――
日頃から十全に実践できている人が、いわゆる「話のわかる人」なのだと思います。