お世辞を言い合う関係というのは――
一見、不健全な人間関係のように思われますが――
よく考えると――
そんなに不健全ではないのではないか、と思います。
お世辞をお世辞のつもりでいっていて、いわれているほうもお世辞のつもりできいていて――
そういう感覚をお互いに共有しているのなら――
それは、実は、かなり安定した人間関係であるように思います。
もちろん――
お世辞のつもりはなくて――
心からの褒め言葉のつもりでいっていて、いわれているほうはお世辞のつもりできいていて――
そういう感覚がお互いに共有できているようなら――
なおのこと、安定した人間関係といえましょう。
問題なのは――
お互いに言い合うのではなく――
どちらか一方がお世辞を言い続けているような場合です。
そういう場合の人間関係は、
――どことなく不健全である。
といってよいでしょう。
たぶん――
それが「お世辞」ではなく、「心からの褒め言葉」であったとしても――
不健全であることに変わりはないでしょう。