現実というものは、たいていは残酷なものですから――
そんなに頑張って伝えなくてよいのではないでしょうか。
その現実やそれに伴う残酷さを知らなければならない人たちに、適切な時期を見定めて、こっそりと伝えるのがよいと思います。
そうでない人たちには、
（こんな現実、とくに知らなくていいでしょう）
で、よいのではないか、と――
だって――
そんな自分も、世の中の現実の残酷さは、ごく一部しか知らないものなのです。
知っているのは――
たまたま仕事などで深く関わっているがゆえに知ることのできた領域の現実だけです。
――自分は、世の中の現実の大半を知らない。
そういう認識が、もしも強くあるならば――
人は、たまたま自分が知っている現実の残酷さを、誰かに頑張って伝えたいとは思わないでしょう。
いつか自分が、自分の知らない現実の残酷さを誰かから伝えられて、その残酷さを痛感してしまったばっかりに、世の中のどこにいても安心して暮らせなくなってしまった――というような状況に陥ることを想像したときに――
ちょっと怖いので――
