職業上たまたま知りえた秘密を――
皆さんは、不特定多数の人々に伝えようと思いますか。
例えば――
ネットのブログなどで、具体的に伝えようと思いますか。
もちろん――
守秘義務を負うような秘密――例えば、誰かの個人情報など――は、わざわざ伝えようと思うわけはないでしょうが――
とくに守秘義務を負わないような秘密――その職業に就いていたからこそ偶然にも知りえた真実など――を、皆さんは、伝えようと思いますか。
……
……
きのう――
そのような“真実”に、ネットの記事で公然と言及している人がいて――
(ちょっとな~)
と思いました。
その“真実”と現に向き合わねばならない人に、メールなどで、こっそり伝えるのなら――
まあ、わかるのです。
が――
その人は――
その“真実”と現に向き合っている人が置かれている状況を、直接的に説明することで――
その“真実”について、間接的に言及していました。
(なんで、わざわざ言及するんだろ?)
と――
最初は怪訝に思ったのですが――
……
……
考えられる理由が一つあります。
それは――
その“真実”と現に向き合っている人その人が――
その“真実”について、ネットの記事で公然と言及することを強く望んだから――
というものです。
――こんな“真実”を秘密にされてたら、たまらん!
というように――
……
……
その気持ちは、わからないでもありません。
が――
僕は、
(この世の中には、自分が知らなくてよい“真実”などゴマンとある)
と思っています。
僕自身、職業上たまたま知りえた“真実”が幾つかあるのですが――
そのどれをとっても、不特定多数の人々に伝えようとは思いません。
また――
他の人が、職業上たまたま知りえた“真実”を数多く抱え込んでいても、
(それはそれで、しょうがない)
と思います。
もちろん――
そうした“真実”と現に向き合わねばならない状況に自分が置かれたら――
きっと、
(その“真実”について、残らず教えてくれ!)
と思うでしょうが――
そうでない限りは、
(まあ、いいよ、教えてくれなくて……)
と思います。
そんな“真実”の一つひとつを把握して――
それでも、まだ、この世の中を心穏やかに暮らしていける自信は――
僕には、ありません。