マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

思想

(「思想」ってなんだろう?)
 と考えることがあります。

 ネットで検索をすると、

 ――人生や社会について、まとめられた一つの考え

 とか、

 ――(哲学において)考えることによって得られる意識の内容、体系的にまとめられたもの

 とかいった記述に行き当たりますが――
 要するに、体系的にまとめられた考えのことだろうと思うのです。

 思いつきの考えではなくて――
 断片的な考えではなくて――

 思いつきの考えを、ただ拾い集めたものでもなくて――
 断片的な考えを、ただ繋ぎ合わせたものでもなくて――

 ある目的をもって整理され、表現されたものであり、それが不特定多数の人々によって理解され、受容ないし排他されうる考え――
 といったところでしょうか。

 最後の点は、たぶん一番に重要です。

 受容も排他もされえない考えは、たぶん「思想」とは呼ばれないのです。

 この国は、いまだに偉大な思想家を産んでいない――
 という見方があります。

 その最大の理由は、この国で育まれた考えは、受容されることはあっても、排他されることは、ほとんどありえないからではないでしょうか。

 この国で生じ、この国の一部あるいは全部によって排他され、海外に活路を求めて旅立っていった考えというものを挙げることは、ちょっと困難でしょう。
 海外から伝来した考えなら、排他されることは、よくあるのですが――

 この国の人たちは、たぶん、この国で生じた考えを受容することはできても、排他することはできないのです。

 できないというか、したくない――

 それは、僕個人の信条に照らしても、しっくりきます。