マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

TGB

 ロンドン・オリンピックが閉幕し、数日が経ちます。

 報道によれば――
 現地では、ファンも選手も十分にオリンピックの機会を楽しめた、との見方が広がっているそうです。

 まあ、それは何よりですね。

 そうした報道に混じって――
 こんなことも伝えられていました。

 いわく、

 ――イギリスのスポーツ文化は成熟している。なぜなら、イギリスのファンたちは、自国の選手たちを応援するときに、「TGB」という言葉を使っていたからだ。「TGB」とは「Team Great Britain」のことであり、とくに「Team」が強調される点は、スポーツに国威発揚は絡めたくないという強い意志の表れだ。すばらしい。

 というものです。

 ……

 ……

 いや――
 そうじゃないと思うんですけどね……。

 単に、日本のファンにとっての「Nippon !」や、アメリカのファンにとっての「USA !」に相当する言葉が、イギリスのファンには存在していない、というだけのことだと思います。

 イギリスの国名の最も一般的な略称は「UK, United Kingdom」でしょう。
 が、これを応援に用いるのは、勝手が悪い――「UK!」では、いまひとつリズムが悪い――

 他に、「GB, Great Britain」というのもありますが、「GB !」でも、やはりリズムが悪い――
 アルファベットで2文字というのがネックなのです。

 3文字の略称はないのかということで――
 ひとまず「GBR」という略称に着目してもよいのですが――

 この略称は「Great BRitain」の「GBR」でして、いかにもバランスが悪い――
 少なくとも、アメリカの「USA, United States of America」のような素直さはない――

 そこで、着目されたのが「TGB」だと思うのですよ。

 もちろん、「TGB」の「T」は「Team」に違いないとは思うのですが――
 他に適当な言葉が見当たらないから「Team」が選ばれているだけのように思います。

「TGB」は、実質的には「KGB」なのだろうと思いますよ――「KGB, Kingdom of Great Britain」です。

 が、オリンピックの会場で「KGB !」では――
 ブラック・ジョークとしか聞こえないでしょう――ソビエト連邦の国家保安委員会の略称と同じなので――

 だから、「TBG」なのです、きっと――